裏GOODDAYS 日々の随想

こちらは日々の随想を吐き出している裏ページです

水辺と倉庫

俺が東京で最も雰囲気が気に入っている店は、大学生の頃からたまに行っている天王洲アイルT.Y. HARBOR BREWERYである。

地ビールはもちろんのこと、料理もサービスも十分なのだが、何より倉庫で水辺というのがいい。

倉庫というのは天井が高いから食器の音や人の声の音が反響して実に心地よく聞こえる。

水辺だとそれ自体が気持ち良いうえ、なんといっても車の音が聞こえないのが良い。

価格はリーズナブルとはいえるものの安いとはいえないが、この料金抵抗が客を選別すると思えば納得できる。

俺が住む勝どき周辺で雰囲気が気に入っている店は、スペインバルの月島スペインクラブとアンティーク家具店のザ・ペニーワイズなのだが、ここは倉庫とアンティークというのがポイントだ。

もちろん、このエリアなので至近に水辺もある。

欧米の国々では大抵水辺エリアはオシャレな飲食店の多いスポットになっているし、倉庫もオシャレに利用されている例が多いが、日本で栄えている例を見ることはあまりない。

あっても栄えないというか、うらぶれた雰囲気になってしまう。

水辺や倉庫地区というのは用途地域で工業地域になってしまい、店の営業などが難しかったり、周辺の雰囲気がそれにそぐわなかったり、水辺=どん詰まりなので集積地になりづらかったりもするが、数少ない水辺の商業地域に目をやるとこれが栄えていない。

うちの近くの晴海トリトンもうらぶれているし、先述の天王洲アイルも、お台場も、汐留も、竹芝も、日の出も、晴海ふ頭も、どこもかしこもうらぶれている。

これまたうちの近所だが、ららぽーと豊洲が健闘しているぐらいである。

欧米人が東京の住民だったならこれらの地区はもっと有効に利用されたはずだ。

3.11後だと海辺を怖いと思う気持ちが芽生えるのも当然だが、3.11前から栄えていないのでこれは水辺が栄えない理由にはならない。

もちろん、横浜や神戸や函館や小樽、最近だと長崎や鹿児島(開港都市ばかりではないか!)、別ジャンルだと京都の鴨川のような例もあるが、観光目的以外で自然発生的に水辺が栄えている例はあまり見ない。

…というわけで日本人は水辺や天井が高くて広々とした倉庫でオシャレに過ごすより、雑踏や狭い店の中で過ごすことを好むのだろうと思うことにしている。

雑踏より前者を好む俺にとって価値観が合わないことを嘆きたくなる面もあるが、天王洲アイルが人でごった返すよりはずっといい。

一昨日、横浜トリエンナーレに行ったついでに立ち寄った赤レンガ倉庫は想定をはるかに上回る込み具合だったので、例外もある(billsに行くつもりだったがとっとと退散)。

ところで、横浜トリエンナーレに行った最大の理由は会場の日本郵船海岸通倉庫に入ることができるからである(笑)。